エキスパートクラスは山口達雄が開幕2連勝!ジェントルマンクラスはルーキー山川幸夫と実力派末長一範が勝利を分ける

2026 インタープロトシリーズ POWERED by KeePer(IPS)の第 1・2 戦が5月9日(土)・10日(日)に富士スピードウェイで開催。2つのクラスに分けられたジェントルマンレースは、エキスパートクラスで山口達雄(NAVUL)が嬉しい開幕2連勝を飾った。ジェントルマンクラスでは、開幕戦のわずか数週間前にIPS初走行となった山川幸夫(人馬一体ドライビングアカデミー)が第1戦でトップチェッカーを受け、翌日の第2戦では末長一範(K-tunes Racing)がポールトゥウィンを飾った。
12台の「Kuruma」が出走するインタープロトクラス(IPクラス)。ジェントルマンレースはこれをエキスパートクラスとジェントルマンクラスに分けている。エキスパートクラスには、昨年王者の大蔵峰樹(キーパー号)、永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)、山口、そして昨年のジェントルマンクラスチャンピオンの大山正芳(ダイワNアキランドIPS)の4名がエントリー。ジェントルマンクラスは、末長、渡邊久和(ララパルーザ)、八木常治(Pastel Motorsport)、FLYING RAT(INGING MOTORSPORT)、山崎哲之(表参道メディカルクリニック)、米谷浩(ヨネタニアキランドIPS)と、今シーズンから参戦する山川と中島功(アキランドIPS)の8名だ。
5月9日(土)、朝一番のセッションとして行われた公式予選は、大蔵が全体のトップタイムをマークして第1戦のポールポジションを獲得。セカンドベストによって、山口が第2戦のポールポジションを手に入れた。昨年は6戦すべてで勝利し王座に着いた大蔵だが、予選や決勝レース中のファステストラップといった「一発の速さ」では山口に先行される場面があった。今回もベストタイムでのトップタイムは獲得できたが、セカンドベストは山口に奪われた形で、昨年に続き接戦が期待できそうだ。
ジェントルマンクラスでは、ルーキーの山川が序盤から躍動し、セッション中、一時は全体のトップにも躍り出た。また今シーズンFIA F4にも参戦している中島も序盤から好タイムをたたき出したが、セッションの後半に入ると経験者たちが続々とタイム更新。末長が山川からクラストップを奪取した。末長はセカンドベストでは、エキスパートクラスの大蔵、永井を上回り総合2番手タイムを獲得。昨年の最終大会で連勝を飾った末長が、その速さを今年の開幕戦でも見せつけた形だ。
Driver’s Voice
大蔵峰樹(キーパー号)

「事前の練習では調子が悪いのですが、予選ではバチッと決まるという、いつもの流れでした(笑)。予選自体も、まず僕がファーストベストとセカンドベストでそれぞれトップタイムを出して、山口選手が最後にセカンドベストを塗り替えるという流れはいつも通りです。このクルマは、昨年末にやったエキシビションレースでクラッシュしてしまい、それを修復して今大会に臨んでいますが、ちょっと気になる部分はあるものの、基本的には問題ありません。全体的なバランスも悪くなかったですね。今年もまた、山口選手と長い選手と僅差で戦うことになるんだろうなぁと感じました。面白いバトルができると期待したいですね」
山口達雄(NAVUL)

「練習走行のときと比べると、いい感じにまとまって来てはいるのですが、やはりまとめ切れていない分で負けちゃったのかなと思っています。あとは、うちのクルマはストレートが少し伸びない傾向なんです。あんおで、他の人のスリップストリームを使いたいのですが、そうすると僕自身の走りがとっ散らかってしまう。レースになれば、スリップを使ってついていけると思いますね。レースも、去年は終盤にミスをして順位を落とすという場面がいくつかあったので、最後までミスなくやり切りたいです」
末長一範(K-tunes Racing)

「予選セッションの全体を通して、自分の思ったペースでタイムを上げていくことができて非常に良かったですね。タイヤの内圧設定やアタックの場所取り、そういったところにこだわって予選に臨んだので、そこをきちんととれたのが良かったです。思い通りの20分間、開幕戦の予選としては100点、いや120点ぐらいです」
第1戦の決勝レースは、1列目にポールシッターの大蔵が着け、2列目に山口と永井、3列目に末長と山川が並んでスタート。オープニングラップでは3番手スタートの永井がGRコーナーからコカ・コーラコーナーにかけてのバトルで山口をかわして2番手に浮上。山口も食らいついていき、サイドバイサイドに持ち込もうすしていたが、その隙に大蔵が大きくリードを広げる展開となった。その後方では、ジェントルマンクラスのトップに山川が浮上。末長はまだオープニングラップでタイヤが温まり切っていないなかでプッシュした結果、コースサイドに足を落としてしまいポジションダウンしてしまった。タイヤにフラットスポットもできてしまったようで、その後末長はピットイン。そのままレースを離れることとなった。また、2周目に大山とFLYING RATが接触し、大山はダンロップコーナーでコースサイドにストップ。大山の車両回収のために、3周を終了するところでセーフティカー(SC)が入ることになった。

SCが隊列を離れ、7周目にリスタート。大蔵、永井、山口は等間隔でGRコーナーへ入り、やや離れて山川、その後方ではジェントルマンクラス2番手の中島に3番手のFLYING RATが接近していったが、オーバーテイクには至らない。
総合トップの3台は0.5秒を切るような僅差で周回を重ねるが、9周目に入ったホームストレートでは永井が大蔵に仕掛けていく。ただここではとらえきることができず、逆にGRコーナーの立ち上がりで山口の接近を許すことに。この永井のチャレンジにより3台はさらに接近し、終盤はわずかなミスも許されない緊迫した戦いになっていった。

勝負は11周目に入ったホームストレートだった。GRコーナーに向けてアウト側のラインを取った大蔵がまさかのオーバーシュート。その横をテールトゥノーズの状態で長いと山口が駆け抜けていく。大蔵に代わってトップに立った永井は逃げ切りたいが、山口はくらいついてファイナルラップへ突入。永井が山口に対しイン側のラインをつぶそうとする直前、スリップを使って一気に加速した山口がコンクリートウォールギリギリの隙間に車両をねじ込み、一気に横に並びかけた。GRコーナーへのブレーキ勝負は山口に軍配が上がり、これで山口がトップに躍り出た。最終コーナーで永井も最後のチャンスを狙うが、山口は丁寧にラインをつぶしてブロック。そのままトップを明け渡すことなく先頭でチェッカーフラッグを受けた。2番手の永井とは0.277秒差、3番手の大蔵とは0.903秒差と僅差の戦いだった。

ジェントルマンクラスは、山川がクラス2番手の中島に2.8秒差を築いてトップチェッカー。2位の中島と合わせ、IPS初レースの2人がトップ2を飾った。3位にはFLYING RATが入った。
山口達雄(NAVUL)

「終盤、珍しく大蔵選手がミスをしたので、何とか永井選手を追いかけていきました。チャンスは1回だけだったので、あの場面でオーバーテイクできて良かったです。いつもはアウト側からしかトライできないのですが、今日はもう、あそこは『インから行く』と決めていました。プレッシャーをかけられるのはきつかったですが、何とか前だけを見て走ることを心掛けました。第2戦は幸いポールスタートなので、逆の展開にならないように頑張ります」
大蔵峰樹(キーパー号)


「(コースアウトする)1~2周ぐらい前から、急にクルマが曲がらなくなってしまっていました。このままだとまずいなぁと思いながら走っていたところ、永井選手が仕掛けてきて。『いつもは左からくるのに、今回は右からなのか。なら左から行こう』と右サイドを確認したら、視界に入った看板の位置がいつもと違っていて、もうそのまま止まれなかったです。SCでタイヤかすを拾ってしまったのか、クルマが曲がらなくなってしまったんですね。なので、リスタート後にギャップが作れなかったのが敗因かと思います」
永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)


「本当に悔しいですが、いいレースができて楽しかったですね。大蔵選手に追いつけている感じはあったのですが、やはりうまくスリップを使えないと難しいですし、山口選手にはストレートでうまくやられたなと。参りました。レース後半に照準を合わせていたので前半はきつかったですね。SCが出るまでは厳しかったのですが、SCで差が詰まったところからは立て直せましたね。お二人とも、本当にフェアなレースをしてくれるので本当に楽しかったです」
山川幸夫(人馬一体ドライビングアカデミー)


「スリックタイヤでの初レースでした。前を走る皆さんはすごく速くて、自分の未熟さを感じましたね。一番の差は、フォーメーションラップを走ってからのスタートの頃です。まだタイヤのパフォーマンスが上がってきていない状態で、あの混戦の中で速い状態を作り出している。SC明けのリスタートもそうですね。いろいろと自分の中で課題が見えたレースだったかなと思っています」
翌10日(日)の午前中に行われた第2戦は、1列目にポールシッターの山口が着け、2列目にはジェントルマンクラスポールシッターの末長と、前日悔しい総合3位だった大蔵が並んだ。3列目は永井と山川だ。
スタートは山口が順当にトップを守り、大蔵と永井の3番手争いはGRコーナーで接近しながらもバトルには至らず、2人が揃って末長に近づいて行く。2周目のGRコーナーでは、まずは大蔵が末長をとらえて2番手にポジションアップ、その後ろでは、最終コーナーで山川のインに切り込んだ中島がクラス2番手を奪取、オープニングラップで1ポジションアップに成功したが、続くGRコーナーでは山川が順位を取り戻した。

末長をかわして2番手に上がった大蔵に続きたい永井は、ダンロップコーナーなどでチャンスをうかがうが、末長は隙のない走りとブレーキングの良さを武器にポジションをキープ。ホームストレートで永井が一気に差を詰めGRコーナーで勝負に持ち込もうとするも、末長は重要なラインをきっちりと潰していく。5周目の最終コーナーでは作戦を変えた永井がイン側をコンパクトに回って末長の前に出ることに成功するが、続くGRコーナーでは得意のブレーキング勝負で永井から総合3番手を奪い返す。7周目には再び永井が末長を捕え、勝負は決したが、数週にわたって見ごたえ抜群のバトルが展開された。
総合3番手争いの前方では、山口と大蔵によるトップ争いもヒートアップ。7周目のGRコーナーには2台が並んで入っていき、両者一歩も引かないサイドバイサイドの争いが続いた。コカ・コーラコーナーでは大蔵がアウト側から一気に山口を抜き去っていき一度は完全に前に出たが、アドバンコーナーでわずかに挙動が乱れたところを見逃さなかった山口がイン側から並びかける。そしてダンロップコーナーのブレーキング勝負で山口が先行。激しいトップ争いがレース中盤のハイライトとなった。


レースが10周目に入ったところで、GRコーナーでジェントルマンクラスの渡邊とSUPRAクラスの卜部治久が接触するアクシデントが発生。渡邊の車両はGRコーナーでストップし、卜部もその先で車両を停め、レースは赤旗中断となった。幸い両ドライバーに大きなけがはなかったが、このアクシデントによりレースは赤旗をもって終了。9周終了時点の結果を持って正式結果となり、山口がエキスパートクラス優勝、大蔵、永井というトップ3になった。ジェントルマンクラスの優勝は末長。2位は2戦連続で中島が入り、その中島と激しいバトルを繰り広げ見せ場を作った山川が3位となった。
Driver’s Voice
山口達雄(NAVUL)


「土曜日のレースで勝てても、日曜日のレースでは大蔵選手に負けてしまうというパターンが今までだったので、今回はしのぎ切れたというか、運もありましたが、勝てて良かったです。一度大蔵選手とのギャップが広がったときには、『これはタイヤがきついのか、様子をうかがっているのか、どっちなんだろう』と気になりましたが、もう全力で逃げる気満々でした。開幕戦でいいスタートを切れたので、何とかこの位置をキープしたいです」
大蔵峰樹(キーパー号)


「きついレースでしたが、もしあと数周戦えていたら、同じような展開の中で猛1回ぐらいチャンスはあったかもしれませんね。1コーナーでなんとか前に出てしまえば、あとはブロックできたかもしれないです。山口選手に2連勝されてしまったので、第2大会は盛り返していきたいですね」
永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)


「末長選手は本当にすごかったですね。隙がないし速かった。昨日と同じように後半戦にフォーカスしてタイヤの内圧設定などもしたのですが、末長選手とのバトルでだいぶ消耗してしまいました。なんとか前の2人に追いつきたかったものの、末長選手の前に出たときにはもうだいぶギャップは広がっていましたね。そこは残念ですが、末長選手とフェアないいバトルができたので、今回も良かったです」
末長一範(K-tunes Racing)

「楽しいレースができました。クルマの状態もだいぶ仕上がっていますし、自分自身もだいぶ慣れてきたところがあります。エキスパートクラスの永井選手とのバトルは非情に面白かったですよ。昨日のレースでタイヤにフラットスポットを作ってしまったのであまり良くはなかったのですが、もしそれがなければ今日のレース、もうちょっと良かったかもしれないです。今年初参戦の山川選手、中島選手もとてもペースがいいので、今年はどのレースでも面白い戦いができそうなので、非常に楽しみです」