
2026インタープロトシリーズPOWERED BY KeePerの第2大会、第3戦・第4戦が9月5日(土)〜6日(日)、富士スピードウェイで開催された。
GR Supra GT4 EVO2で争われるSUPRAクラスには6台がエントリー。ジェントルマンとプロフェッショナル、それぞれのドライバーが週末を戦った。
第2大会は、ジェントルマンレースの土曜日の第3戦と日曜日の第4戦でコンディションが一変。さらに日曜午後のプロフェッショナル第3戦・第4戦は、コース上の各所に川ができるほどのヘビーウェットとなった。
そんな難しい週末で、ジェントルマンは#17 池田比呂志(HW GR Supra GT4 EVO2)と#610 佐藤元春(KSD GR Supra GT4 EVO2)が1勝ずつ。プロフェッショナルでは、#38 坪井翔(P.MU GR Supra GT4 EVO2)が予選から速さを見せ、雨の2レースを連勝した。
Gentleman Race
【予選】

9月5日に行われたジェントルマンレースの公式予選は、雨の影響が残るウェット路面からスタートした。序盤はウェットタイヤが有効な状態だったものの、時間の経過とともにレーシングラインは急速に乾いていく。ウェットで早めにタイムを残すのか、路面の回復を待って勝負するのか。20分間の中で刻々と状況が変わり、ドライバーだけでなくチームの判断も問われる予選となった。そんななか、池田が2分01秒909を記録してトップに。佐藤が2分02秒218で2番手、#11 植田正幸(ルーニーダイワNアキランド GR Supra GT4 EVO2)が2分03秒454で続いた。
第3戦は池田がポールポジション、佐藤が2番手、植田が3番手、#28 FUZZY(KK GR Supra GT4 EVO2)が4番手、#39 豊島 豊(TR GR Supra GT4 EVO2)が5番手からスタート。それぞれのセカンドベストタイムで争われる第4戦予選では佐藤がトップとなり、先頭グリッドに立つことになった。なお、38号車のジェントルマンドライバーとして参戦が予定されていた卜部治久は諸事情により欠場。この週末、ジェントルマンレースは5人での戦いになった。
【決勝】

9月5日午後の第3戦。雨は上がり、路面は乾いていたものの、前日までの天候の影響もあって完全に単純なコンディションとは言えない中で決勝を迎えた。ローリングスタートから池田が好発進を決めてトップをキープすると、その後方では4番手スタートのFUZZYが抜群のスタートを見せ、植田をかわして3番手へ。植田もすぐさま反撃し、コカ・コーラコーナーまでサイド・バイ・サイドとなるなど、スタート直後からSUPRA勢が激しくポジションを争った。
トップでは池田の背後に佐藤がぴたりとつける。佐藤はブレーキングで距離を縮め、池田はイン側を守る。佐藤が立ち上がり重視のクロスラインを選べば、池田も出口で加速を合わせて前を譲らない。ダンロップコーナーをはじめ、周回を重ねても2台の距離はほとんど開かなかった。

中盤からは、その争いに植田が加わった。一時4番手に下がった植田だったが、徐々にペースを取り戻して3番手に返り咲くと、池田と佐藤のトップ争いに接近。3台はテール・トゥ・ノーズの争いとなる。植田にはスタート手順違反による5秒加算ペナルティが科されていたため、ただ前に出るだけでは結果を残せない。後続に対して5秒以上のマージンを作る必要があり、残り周回でさらに攻めなければならない状況となった。
佐藤は池田のアウト側へ何度もマシンを並べようとするが、池田も粘る。そのすぐ後ろには植田も迫り、先頭3台による濃密な攻防となった。植田は10周目に入ったところで佐藤を攻略して2番手に浮上、さらに池田にも襲い掛かる。11周目のGRコーナーでアウト側から池田を捕えようとする植田だが、ブレーキングで止まり切れず、池田がトップを死守。その背後には佐藤も迫り、お互いにわずかな隙も見逃せない緊迫のファイナルラップとなる。最終コーナーを最初に立ち上がってきたのは植田。次いで池田、佐藤の順にチェッカーフラッグを受けた。植田にはペナルティによりレース結果に5秒加算されるため、池田が1位、2位に佐藤、3位に植田という順で暫定表彰式が行われたが、その後池田に対してもスタート手順違反による5秒タイム加算のペナルティが科され、正式結果は佐藤が優勝。2位に植田、そして3位が池田となった。

翌9月6日の富士は前日とは一変した。雨は強く降り続き、路面は完全なウェット。第4戦はセーフティカー(SC)先導でスタートすることになった。先頭は佐藤元春。その後ろに池田、植田、FUZZY、豊島が続く。
SCは3周にわたって隊列を先導。タイムレースとなることが確実な中、各ドライバーは強い雨の中でタイヤとブレーキを温めながらリスタートを待った。レーシングスピードに戻ると、佐藤がトップをキープ。池田が2番手につけるが、背後から植田が着実に距離を縮めていった。
終盤、植田が最終コーナーで池田に仕掛け、2番手へ浮上した。ここから植田のペースが一段と上がる。残り時間が少なくなる中、トップ佐藤に対して植田はラップあたり約2秒速いペースで接近。前日の第3戦では最後まで3台が争ったが、第4戦でもまた、チェッカー直前になってSUPRAの優勝争いが緊迫した。
しかし佐藤は崩れない。視界の悪い雨の中でも大きなミスをせず、植田の追撃をしのいでポール・トゥ・ウイン。4連勝を成し遂げた。
一方、池田は終盤のコカ・コーラコーナーで単独スピン。すぐに復帰したものの順位を落とし、FUZZYが3番手へ浮上した。最終結果は佐藤が優勝、植田が2位、FUZZYが3位。池田は4位、豊島が5位となった。
Driver’s Voice
#610 佐藤元春 KSD GR Supra GT4 EVO2
第3戦・第4戦 優勝

「第3戦はクルマが練習の時に感じていたような挙動にならず、いろいろ試行錯誤している中での2番手フィニッシュでした。まだ正解を見つけ切れていない状態でしたし、それを差し引いても他の2人が速かったので、負けたというのは間違いないと思っています。第4戦は、ちゃんとレースでも勝って、最終結果でも勝つという形にしたかったので、ポール・トゥ・ウインできて良かったです。コンディションも荒れていて、視界も悪い中でのバトルになりましたが、自分の持てる力をしっかり発揮して走ることができました。そういう難しい状況の中で優勝できたのは良かったですね」
Professional Race
【予選】

路面温度は25度前後と低く、タイヤのウォームアップがひとつのポイントになる中、SUPRA勢は早い段階からタイムアタックを開始。坪井が最初のアタックから速さを見せ、1分45秒台へ入れた。
最終的に坪井は1分45秒979。SUPRAクラスのトップだけでなく、インタープロト勢を含めた総合でも4番手に食い込むタイムだった。#28 松井孝允(KK GR Supra GT4 EVO2)が1分46秒010、#17 堤優威(HW GR Supra GT4 EVO2)が1分46秒062と、上位3台はわずかな差。#39 中山雄一(TR GR Supra GT4 EVO2)、#610 柴田優作(KSD GR Supra GT4 EVO2)、#11 石川京侍(ルーニーダイワNアキランド GR Supra GT4 EVO2)と続いた。ただ、決勝では石川が欠場となり、坪井、松井、堤、中山、柴田の5人で争われることになった。
【決勝】

プロフェッショナルの決勝を迎えるころには雨がさらに強まり、富士スピードウェイはヘビーウェットとなっていた。300Rなどにも川ができ、ハイドロプレーニングが発生する厳しい状況。第3戦はSCスタートとなり、実際にレーシングスピードで争える時間は非常に短いスプリントとなった。
坪井、松井、堤、中山、柴田の順でシグナルグリーンを迎える。坪井はリスタート後も安定した速さを発揮。前方のインタープロト勢も含めて水煙が立ち込める中で大きなミスなく先頭を守った。
一方、その後方では松井と堤が接近。短いレースだからこそ、一度離されれば取り戻す時間はない。堤は終盤まで松井の背後からチャンスを伺い、最後にオーバーテイクを成功させて2番手へ浮上した。
坪井がそのままクラス優勝。堤が2位、松井が3位、中山が4位、柴田が5位となった。第3戦の終盤に松井を攻略した堤の一撃が、スターティンググリッドから表彰台の並びを変えることになった。

第3戦の結果がそのままスタート順となる第4戦。坪井を先頭に、堤、松井、中山、柴田という並びでスタートした。雨は依然として強く、第4戦もSC先導でスタートすることが決定。レーシングスピードに戻ると、先頭の坪井は再び安定したペースを刻む。
その後方で、今度は中山が動いた。4番手スタートだった中山はSCが離れ事実上レースがスタートするとすぐに松井を捕え、翌周のホームストレートでさらに堤に並びかけた。サイド・バイ・サイドの戦いはコカ・コーラコーナーで一度中山が前に出たものの、その先のアドバンコーナーまで堤も一歩も引かず。強気の走りで中山を追い詰めると、今度はダンロップコーナーで中山がオーバーシュート。堤がその走りでプレッシャーをかけ、ポジションを取り戻すことに成功した。
さらにレース中盤、インタープロト車両のクラッシュによりSCが導入される。ここでSUPRAクラスには独特の難しさが生まれた。総合順位で走っているため、SUPRA勢の間にインタープロトが入り込み、クラス内の隊列が分断される形になったのだ。通常のようにSUPRA同士だけで間隔を調整することができず、リスタートでは前方の車両とウォータースプレーを意識しながら、同時にクラス内のライバルとも戦わなければならなかった。

坪井はこの状況でもトップを譲らない。強い雨の中で1分58秒566を記録。このタイムはSUPRAクラスだけでなく、第4戦の総合ファステストラップだった。GR Supra GT4 EVO2が持つABSやトラクション性能も生かしながら、インタープロト勢を含めても最速のラップを刻んだことは、この第4戦を象徴するトピックのひとつとなった。
そして最後まで決着しなかったのが、中山と堤による2番手争いだった。中山が前に出ても堤は離れない。セーフティカーを挟んで再び差が縮まり、ファイナルラップまで2台の勝負は続いた。
互いの技量を知っているからこそ、接触寸前まで攻め込める。豪雨の中でも2台は最後までペースを緩めず、最終コーナーからホームストレートへ。チェッカーでは中山がわずかに先行し、2位。3位堤との差は、わずか0.066秒だった。
優勝した坪井は第3戦、第4戦を連勝し、ポールポジション獲得も加え第2大会を完全制覇した。
Driver’s Voice
#38 坪井翔 P.MU GR Supra GT4 EVO2
第3戦・第4戦 優勝

「雨がかなり強いコンディションでしたが、ペース自体は良かったので、そのまま逃げ切る形になりました。後ろで少しバトルになっていたのも、自分としては助かった部分がありましたね。
第4戦の最後は、SCが入ったタイミングでSUPRA勢の間にインタープロト勢が入ってしまって、リスタートでは普段のようにセーフティカーとの間隔を空けてスタートすることができない状況になりました。その影響もあって最後はかなりわちゃわちゃしましたけど、久しぶりにスープラのレースに戻ってきて、しっかり2レースとも優勝することができたので良かったです。
今回はいつも乗っている個体とは違うクルマだったのですが、今週は雨の中でしっかり練習できていて、セットアップも確認することができていました。そのあたりもうまく合わせ込めましたし、雨の中でも上手く乗れたかなと思います」
#39 中山雄一 TR GR Supra GT4 EVO2
第3戦4位/第4戦 2位

「雨量も多くて、かなり難しいコンディションでした。僕らは基本的にジェントルマンドライバーのサポートという立場で走っているので、まずは絶対にクルマを壊さないようにということを意識しています。
その中でも、信頼できるドライバーたちと一緒に走っているので、最終ラップまでバトルを楽しむことができました。最後は本当に鼻先ぐらいの僅かな差で堤選手に勝つことができたので、そこは良かったです。
坪井選手はいつもすごく速いので、そこに届くように頑張りたいですね。みんなで和気あいあいと、楽しいレースができました」
#17 堤優威 HW GR Supra GT4 EVO2
第3戦 2位/第4戦 3位

「第3戦は終盤に松井選手を抜いて2位に入ることができました。第4戦は、スタート自体はうまくいって、坪井選手のインに行こうかとも思ったのですが、無理に行くと接触する可能性があると思って、そこは無理せずに走りました。その後は少しペースが足りなかったかなという感じで、中山選手にかなり追い上げられて、何度かバトルする展開になりました。最後は100分の6秒ほどの僅差で負けて3位でした。
SC中には間にインタープロト勢が入ってしまって、リスタートはかなり難しかったです。水しぶきで前がほとんど見えない状況だったので、『このコンディションでやるのか』と思うぐらいでした。それでも、なんとか事故なく最後まで走り切ることができたので、そこは良かったと思います」